転職活動中に「現職の給与交渉」をしてはいけない理由
2026-05-05 公開
「転職活動しながら、今の会社で給与交渉もしてみようかな」
この考え方には、大きなリスクがある。
4回の転職を経て気づいたのは、「転職と現職の給与交渉を同時進行すると、どちらも中途半端になる」ということだ。なぜリスクなのか、正しい順番はどちらなのかを解説する。
私が同時進行しそうになった話
3社目(営業代行会社)から転職を考えていた時期のことだ。
当時の私は「転職したい気持ちが7割、今の会社で給料が上がれば残ってもいいという気持ちが3割」という状態だった。
ちょうど半期の評価面談があり、「ここで給料上げてほしいと言えば、もしかしたら交渉できるかもしれない」と思った。同時に転職エージェントにも登録していた。
結局、給与交渉は「少し考えます」と言われてうやむやになった。転職活動は「どうせ給料が上がるかもしれないから」という気持ちで身が入らなかった。2ヶ月間、どちらも中途半端なまま過ごした。
その後、「転職に集中する」と決めた途端に動きが加速した。面接に本気で臨めるようになり、内定まで1ヶ月かからなかった。
同時進行が危険な3つの理由
理由①:会社に転職活動がバレるリスクがある
給与交渉をすると「なぜ今このタイミングで?」と上司に疑問を持たれることがある。転職活動中に給与交渉をすると「転職を検討しているのでは」と思われ、社内の立場が微妙になる可能性がある。
転職が確定する前に会社に知られてしまうのは、百害あって一利なしだ。
実際に、電機メーカーから転職を考えていた時期に「少し給料の話をしてみようかな」と思ったことがある。上司との距離が近い職場だったので、給与交渉の話をした途端に「他の会社を見ているのか」と察知される雰囲気がはっきりあった。
転職活動中は、現職での言動に普段以上に気を遣う必要がある。「この人は辞めるかもしれない」と思われると、引き継ぎを前提とした業務の変更や、評価への影響が出ることがある。
理由②:給与が上がると転職の決断が鈍る
給与交渉が成功して少し給料が上がると「まあ、もう少し続けてみようか」という気持ちになりやすい。根本的な問題(営業スタイルの不満・成長機会の欠如など)が解決していないのに、一時的な改善で留まってしまう。
これが転職の先延ばしにつながり、気づけば30代になっていた——というパターンは多い。
20代の転職は、年齢が若いほど可能性が広い。「給与が少し上がったからもう少し待とう」を繰り返しているうちに、28歳・29歳になり「もうキャリアチェンジが難しい年齢かもしれない」という焦りが生まれる。一時的な給与改善で転職を先延ばしにすることは、長期的に見てコストが高い判断になりやすい。
理由③:転職先の年収交渉の軸がブレる
転職先との年収交渉では「現職の年収」が基準になることが多い。現職で給与が上がった直後に転職すると、転職先でさらに高い年収を求めることになり、交渉が難しくなるケースもある。
また、「なぜ給与が上がったばかりなのに転職するのか?」という質問に対して、説得力ある回答を準備する必要も出てくる。
正しい順番:転職を決めてから交渉する
「給与が上がれば今の会社に残る」という選択肢があるなら、まず現職での交渉を先にするべきだ。そして交渉が通らなかった場合、または給与以外の問題が解決しない場合に転職を本格的に始める。
逆に「給与に関係なく転職したい」という気持ちが強いなら、現職での交渉はせずに転職に集中する。
【正しい順番】
パターンA:現職を改善したい場合
現職で給与交渉 → 交渉成功 → 残留
現職で給与交渉 → 交渉失敗 → 転職活動開始
パターンB:転職を決めている場合
転職活動 → 内定 → 退職交渉 → 入社
(現職の給与交渉は不要)
どちらのパターンが自分に当てはまるかを先に決めることが、最初の一歩だ。
「どちらのパターンかわからない」という人へ
正直、私も最初はどちらかわからなかった。そういう場合に役立つのが、転職エージェントへの相談だ。
エージェントに登録して「自分の市場価値がどのくらいか」を把握することで、「今の会社での給与が相場より低いのか、そうでないのか」がわかる。それがわかれば、「現職で交渉する価値があるか」「転職すれば年収を上げられるか」の判断がしやすくなる。
転職エージェントに「現職の年収」を正直に伝えるべき理由
転職エージェントに登録すると「現職の年収」を聞かれる。ここは正直に伝えることが大事だ。
エージェントは現職年収をベースに「転職後にどれだけ年収アップできるか」を一緒に考えてくれる。現職年収を高く見せようとすると、実態と合わない求人を紹介されることがある。
また、エージェントに「自分の市場価値がどのくらいか」を聞くことで、「現職に交渉する価値があるか」も判断しやすくなる。転職するかどうか迷っている段階でも、相談だけなら無料でできる。
私が4回の転職で感じたのは、「エージェントへの相談が早ければ早いほど選択肢が広がる」ということだ。転職を決めてから動くのではなく、「迷っている段階」で市場価値を把握しておくことが、最終的に良い判断につながりやすい。
20代営業職が転職で年収を上げるための現実的な戦略
給与交渉の話をしたついでに、「転職で年収を上げる」ための現実的な考え方もまとめておく。
方法①:業界を変えて単価を上げる
同じ「営業職」でも、業界によって給与水準が大きく異なる。木材商社から電機メーカーに移ったとき、年収が微増した。でも一番大きく変わったのは、無形商材(サービス・IT系)を扱う営業に移ったときだ。
有形商材(モノ)より無形商材(サービス・ソリューション)の営業のほうが、単価が高く年収水準も高い傾向がある。
方法②:マネジメント経験を積んで役職手当を狙う
教育業界でチーフに昇格したとき、月の手当が数万円増えた。給与の上げ方として「役職・昇格」は確実な方法だ。
「今の会社ではなかなか昇格できない」という場合、マネジメントポジションで転職するという戦略もある。プレイヤーとしての実績があれば、マネージャー候補としての転職は十分狙える。
方法③:内定後の年収交渉を丁寧にする
転職先から内定をもらった後、年収の交渉は1回だけチャンスがある。ここを「言いにくいから」と省略してしまう人が多いが、正直なところ「聞いた人の8割は増額されている」というのがエージェントから聞いた話だ。
内定後の年収交渉は、エージェントに代行してもらうのが最もやりやすい。「本人から直接言いにくい」という場面でも、エージェント経由であれば自然に交渉できる。
まとめ
転職活動と現職の給与交渉の同時進行はリスクが高い。
「転職するか・残るか」を先に決めてから、それに合った行動を取る方が、どちらも成功しやすい。迷っているなら、まずエージェントに「自分の市場価値がどのくらいか」を確認してみることをおすすめする。市場価値がわかれば、今の会社に交渉する価値があるかどうかも自然に判断できるようになる。
まず「自分の市場価値」を知ることが、全ての判断の出発点
転職するかどうかの判断も、エージェントに相談できます。無料なので話だけでもOK。
※本記事は筆者の実体験をもとに作成しています。会社名・個人名・特定できる地名はすべて匿名化しています。
