営業職の年収は業界でどれだけ変わるのか|公開データで確かめたうえで、5業界を回った私の見立てを書く
2026-02-01 公開(2026-09-02 更新)
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この記事はこんな人向け
- 転職で年収を上げたい営業職の人
- どの業界に移れば年収が上がるか知りたい人
- 営業スキルを高単価で売れる業界を探している人
「営業は業界選びで年収が変わる」——よく言われるし、私もそう感じてきた。
私は5つの業界で営業をやってきて、そのことを体で感じてきた。
ただ、この記事を書き直すにあたって公開データを調べたところ、ネットでよく見る「年収が上がりやすい業界ランキング」の多くは、根拠が示されていないことに気づいた。私が以前この記事に書いていたランキングも、正直なところ同じだった。
だからまず、公開データで何が言えて、何が言えないのかを先に整理する。そのうえで、データでは埋まらない部分を、5業界を回った人間の見立てとして書く。この2つは混ぜない。
まず公開データで確認できること
転職サービスdodaが公開している平均年収ランキング(2025年版)を見た。2024年9月〜2025年8月にdodaに登録した20〜65歳の正社員、約60万件が対象だ(出典:doda「平均年収ランキング(2025年)」)。
①営業職全体の平均年収は476万円
11ある職種分類のうち第4位で、全体平均の429万円より47万円高い。営業職は、職種として見れば決して低いほうではない。
| 職種分類 | 平均年収 |
|---|---|
| 専門職(コンサル・監査法人など) | 619万円 |
| 企画/管理系 | 580万円 |
| 金融系専門職 | 486万円 |
| 営業系 | 476万円 |
| 技術系(IT/通信) | 469万円 |
②営業系で全職種トップ20に入るのは「MR」だけ
全176職種のランキングで、営業系から入っているのは**MR(803万円・全体5位)**の1職種のみだった。医薬品メーカーの営業だ。
③業種別の上位は金融・メディカル・メーカーが占める
業種別トップ10は、投信/投資顧問(814万円)、たばこ(759万円)、ベンチャーキャピタル(724万円)、医薬品メーカー(684万円)、証券会社(609万円)などで、金融・メディカル・メーカーの3分類で17業種がトップ20を占めている。
ここから言えないこと(重要)
①業種別の平均は「その業種の営業職」の年収ではない。 医薬品メーカー684万円には研究職も管理部門も含まれる。「この業種に行けば営業でもこの年収」とは読めない。
②IT・SaaS、人材、不動産は、業種別トップ10に入っていない。 これらを「年収が上がりやすい業界」の上位に置く根拠は、少なくともこのデータからは出てこない。
③dodaの数字は公的統計ではない。 doda登録者という母集団の数字であって、日本の営業職全体を代表するものではない。
つまり、データからはっきり言えるのは「営業職の平均は476万円」「MRは例外的に高い」「高年収業種は金融・メディカル・メーカーに偏る」までだ。 それ以外は推測になる。
以下のランキングは、この事実を踏まえたうえで、5業界を回った私が「営業職として狙いやすい」と考える順番である。データが示す客観的な順位ではない。
年収が上がりやすい業界の条件
年収が高い営業職の業界には共通点がある。
- 無形商材を扱う(人材・IT・金融など)
- インセンティブ制度がある
- 1件あたりの単価が高い
有形商材(商品を売る)より無形商材(サービス・情報を売る)の方が、一般的に年収が高い。理由はシンプルで、製造コストが低いぶん利益率が高く、営業への還元が大きい。木材を売る場合は仕入れ値がある。人材を紹介する場合、製造コストはほぼゼロだ。
そして「インセンティブ制度の有無」が決定的に重要だ。固定給だけの会社と、成果に連動したインセンティブがある会社では、努力が年収に反映されるかどうかが根本的に違う。
私が「営業職として狙いやすい」と考える5業界
※ここからは筆者の見立てであり、公開データによる順位ではない
1位:IT・SaaS営業
法人向けのITサービス・クラウドツールの営業だ。1件あたりの契約単価が高く、継続課金モデル(サブスクリプション)のためインセンティブも安定しやすい。
未経験からでも営業経験があれば参入しやすいことが大きなメリットだ。IT知識がゼロでも、「法人営業の経験があれば採用したい」という企業は多い。入社後に製品知識をつけながら成長できる環境が整っているケースが多い。
転職難易度: 中程度(営業経験があれば未経験業界からでも狙えるが、競争は激しい)
※かつてこの記事には年収レンジの目安を書いていたが、出典を確認できなかったため削除した。IT・通信業種はdodaの業種別トップ10に入っておらず、「高年収業界」と断定できる根拠が見つからなかった。
ここは私自身が経験した業界ではないので、体験として語ることはできない。ただ、5業界を回って確信していることが一つある。「顧客の課題を引き出して提案する」という部分は、商材が変わっても持ち越せる。木材でも家電でも研修でもイベントでも、そこは同じだった。IT知識の有無より、その力があるかどうかのほうが効くはずだと考えている。
2位:人材業界(人材紹介・派遣)
成功報酬型で、企業が支払う手数料は採用者の年収に連動する仕組みだ。1件あたりの金額が大きくなりやすく、その一部が営業のインセンティブに回る。
成功報酬の料率については、各社の公表値を確認できなかったため具体的な数字は書かない。ただ仕組みとして、1件の成約額が大きく、そこからインセンティブが配分される構造であることは間違いない。
注意点: 売れる時期と売れない時期の収入格差が大きい。景気の影響を受けやすい業界でもある。
3位:金融・保険営業
保険や投資商品の営業は、単価が高くインセンティブが大きい。
ただし、精神的な強さが求められる業界だ。個人に対して「老後のお金」「家族のために」という文脈で提案する営業は、断られることも多く、精神的なタフさが必要になる。向き不向きが明確な業界だ。
向いている人の特徴:
- 長期的な人間関係を築くのが得意な人
- 数字に強く、商品の複雑な仕組みを理解して説明できる人
- 断られてもメンタルが安定している人
4位:医療・製薬(MR)
専門知識が必要だが、安定した高年収が狙える。製薬会社が医療機関に対して医薬品の情報提供をする営業だ。
転職難易度は高め。理系出身や医療・薬学の知識がある人が有利だが、一般的な営業職からも採用するケースはある。
この業界だけは、データがはっきり支持している。 dodaの職種別ランキングでMRは803万円・全体5位。営業系で唯一トップ20に入った職種だ。「高年収の営業」を数字で裏付けられるのは、5つの中でここだけである。
5位:不動産営業
扱う金額が大きく、インセンティブの比重も大きくなりやすい反面、ノルマも厳しいと言われる業界だ。
ただし具体的な金額は会社ごとに大きく違い、公開されている一次データを確認できなかったため、ここでは数字を書かない。ノルマのプレッシャーや夜・休日の対応が多いという話もよく聞くが、これも私自身が経験した業界ではない。
向いている人の特徴:
- プレッシャーに強い
- お金の話を臆せずできる
- 顧客に粘り強くアプローチできる
私の実体験から言えること
有形商材の限界を感じた瞬間
木材商社・電機メーカーという有形商材の営業から、無形商材に近い教育サービスの営業に移ったとき、「提案の自由度と年収ポテンシャル」が変わった実感があった。
木材を売っていたころは、価格競争になりやすかった。顧客が「もっと安いところがあった」と言えば、値引きを検討するしかない。商品スペックが同じなら、価格で負けた時点で終わりだ。
でも教育サービスの営業は違った。「この研修でうちの会社にどんな変化が生まれるか」という話ができる。提案の中身で勝負できる。そして提案の質が上がれば、それが収入に直結する可能性がある。
「業界×インセンティブ」の組み合わせを見る
年収を上げたいなら、「無形商材×インセンティブあり」の業界を狙うのが、最も確実な戦略だ。
ただし、インセンティブの設計をよく確認することが重要だ。「インセンティブあり」と書いてあっても、実際には達成が極めて難しい条件だったり、上限が低かったりするケースがある。
面接や内定後の条件確認の段階で、必ず聞くようにしたい。
- 現在のメンバーの平均インセンティブはいくらか
- インセンティブの上限・下限はあるか
- 入社1年目でインセンティブをもらえた人はどれくらいいるか
エージェント経由で転職する場合は、エージェントに「インセンティブの実態」を確認してもらうことができる。これが、転職サイトで自己応募するより、エージェントを使う利点のひとつだ。
業界を選ぶ前に確認したい「自分の営業スタイル」
年収が上がりやすい業界がわかったとしても、自分のスタイルに合っていないと長続きしない。
以下の2軸で自分のスタイルを確認してほしい。
軸① 新規開拓型 vs 関係構築型
新規開拓が得意な人はIT・SaaS・人材業界が合いやすい。関係構築が得意な人は医療・製薬や金融の方が向いているかもしれない。
軸② 短期決戦型 vs 長期提案型
即決が求められるスタイルが向いている人は不動産・保険。時間をかけて提案を作り込む方が得意な人はSaaSや企業向けITサービスが合うことが多い。
自分のスタイルと業界の特性がマッチしているかどうかを確認した上で業界を選ぶと、入社後のミスマッチが減る。
自分の営業スタイルに合う業界を見極めるには、求人を多く持つエージェントに相談するのが早い。
→ 関連記事:営業マンにおすすめの転職エージェント3選【4回転職した筆者が本音で比較】
まとめ
データで言えること
- 営業職の平均年収は476万円。11の職種分類中4位で、全体平均429万円より上(doda・2025年版)
- 営業系で全職種トップ20に入るのはMR(803万円・全体5位)だけ
- 業種別の高年収帯は金融・メディカル・メーカーに偏る。IT・人材・不動産はトップ10に入っていない
- ただし業種別平均はその業種の全職種の数字であって、その業種の営業職の年収ではない
データでは言えないこと(=私の見立て)
- IT・SaaS、人材、金融・保険、不動産を「狙いやすい」と考える理由は、年収データではなくインセンティブ制度の有無と単価の大きさという仕組みの話だ
- 順位は私の主観であり、客観的な高年収順ではない
結論として言いたいのは一つだけだ。
「年収が上がりやすい業界ランキング」を鵜呑みにしないでほしい。私が以前この記事に書いていたランキングにも、根拠はなかった。確かめられるのは、応募先ごとのインセンティブ設計だけだ。 業界名ではなく、その会社の制度を見たほうがいい。
高年収の営業求人を効率よく探すなら、無形商材・インセンティブ案件に強いエージェントを使うのがおすすめだ。自分の経歴を伝えるだけで、狙える年収レンジを教えてもらえる。
※本記事は筆者の実体験および公開情報をもとに作成しています。年収データはdoda「平均年収ランキング(2025年)」(2025年12月1日更新・2024年9月〜2025年8月にdoda登録の正社員 約60万件)を2026年9月2日に確認したものです。会社名・個人名・特定できる情報はすべて匿名化しています。
