失業保険をもらいながら転職活動はできる?条件と注意点を解説
2026-05-24 公開
「退職したら失業保険がもらえるらしいけど、転職活動しながらでも受け取れるの?」
私も最初の転職のときに、全く同じ疑問を持っていた。結論から言えば、条件を満たせば転職活動と並行して受給できる。ただし、知らずにいると「不正受給」になりかねないルールがいくつかあるため、仕組みをしっかり理解した上で利用してほしい。
この記事では、失業保険(雇用保険の基本手当)の基本的な仕組みから、受給条件・金額の目安・転職活動との両立における注意点まで、実体験を交えながら解説する。
失業保険とは何か|基本的な仕組み
失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、雇用保険に加入していた人が失業した際に、生活の安定を図りながら求職活動を続けられるよう支給される給付金だ。
「もらい得」だと思っている人もいるかもしれないが、これは会社員時代に毎月給与から天引きされていた雇用保険料が原資になっている。むしろ、条件を満たしているなら積極的に活用すべき制度だ。
ただし、重要な前提がある。失業保険は「すぐに働ける状態にあるにもかかわらず、仕事が見つかっていない人」に対して支給される。つまり、転職する意思があること・求職活動をしていることが受給の条件になる。
病気・ケガで働けない状態、育児・介護で求職できない状態の場合は、別の給付制度に切り替える必要がある。
受給できる条件|雇用期間と離職理由が重要
失業保険を受給するには、主に以下の条件を満たす必要がある。
雇用保険への加入期間
自己都合退職(転職・キャリアチェンジ目的など)の場合 離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること。
会社都合退職(リストラ・倒産など)の場合 離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヶ月以上あること。加えて、待機期間(後述)が短縮されるメリットもある。
短期間で転職を繰り返している場合、加入期間が12ヶ月に満たないケースがある。私も3社目から4社目へ転職した際、在籍期間が約10ヶ月しかなかったため受給条件を満たせず、失業保険をもらえなかった経験がある。在籍期間が短い人は事前に確認しておくことをすすめる。
自己都合退職の場合の「給付制限」
自己都合で退職した場合、ハローワークに申請してから最初の7日間は「待機期間」として給付が止まる。さらにその後、2ヶ月間の「給付制限期間」が設けられる(2020年以降の改正で、5年間のうち2回目以降は3ヶ月)。
つまり、自己都合退職の場合は申請から約2ヶ月以上は給付が始まらない。退職後すぐにお金が入ってくるわけではないという点を、資金計画に織り込んでおく必要がある。
給付額の目安と計算方法
給付額は「基本手当日額」として計算される。退職前6ヶ月の給与をもとに算出した「賃金日額」に、給付率(50〜80%)を掛けた金額が1日あたりの受給額になる。
給付率は賃金が低いほど高くなる設計になっており、低所得者ほど保護が厚い仕組みだ。
おおまかな目安
- 月給25万円の人:基本手当日額 約4,500〜5,500円
- 月給35万円の人:基本手当日額 約6,000〜7,000円
- 月給50万円の人:基本手当日額 約7,500〜8,000円(上限あり)
給付される日数(所定給付日数)は、雇用保険の加入期間と離職理由によって異なる。自己都合退職で加入期間1〜10年の場合、90日分が基本となる。
転職活動と並行してもらう際の注意点
失業保険を受給しながら転職活動をすること自体は問題ない。ただし、以下の点には注意が必要だ。
就職が決まったら即座に報告する
内定が出た・アルバイトを始めた・フリーランスとして収入を得たなど、「就職または就労した」と判断されるタイミングがあれば、すぐにハローワークへ報告する義務がある。
報告せずに給付を受け続けると「不正受給」になる。不正受給は受給額の3倍返しを求められる場合があり、社会的信用にも大きく影響する。少しでも迷ったら、ハローワークの窓口に確認するのが一番だ。
認定日には必ずハローワークへ行く
失業保険は4週間に1回、ハローワークで「失業の認定」を受ける必要がある。認定日に行かなかった場合、その期間の給付は受けられない。
認定日には「求職活動の実績」を報告する必要もあるため、転職サイトへの応募・エージェントとの面談・会社説明会への参加などを記録として残しておくとよい。
アルバイト収入は申告が必要
受給期間中にアルバイトをした場合、収入の有無と金額を申告しなければならない。一定以上の収入がある日は給付が調整(減額または停止)される。完全に禁止ではないが、隠すことは絶対にNGだ。
在職中転職 vs 退職後転職|失業保険の観点から見るとどっちが正解か
これはよく聞かれる問いだ。答えは「状況による」が、失業保険の観点だけで言えば「退職後転職」に優位性はほとんどない。
在職中に転職活動して内定を取り、入社日を調整して転職すれば、収入が途切れることなく次のステージに進める。失業保険の給付制限期間(2ヶ月)を待つ必要もない。
退職後転職の場合、給付制限が明けるまでの間は収入ゼロの状態が続く。精神的にも焦りが生じやすく、妥協した会社に入ってしまうリスクがある。
ただし、極度のストレス・体調不良・ハラスメントがある職場など、在職中の転職活動が困難なケースはある。そういった状況では、退職を先行させて心身を整えることを優先すべきだ。
私の経験|退職後に活動した時期の話
私は4回転職しているが、うち1回だけ「退職後に転職活動」をした時期がある。電機メーカーから営業代行会社へ転職する際、在籍していた会社の環境がかなり厳しくなっており、在職中に転職活動する余裕がなかった。
退職してから失業保険の申請をしたが、自己都合退職だったため給付制限が2ヶ月あった。その間は貯金を切り崩して生活することになり、精神的なプレッシャーは相当なものだった。
「早く決めなきゃ」という焦りが判断力を鈍らせる。退職前にある程度の生活費(最低3ヶ月分)を確保しておくことと、失業保険の給付開始までのタイムラグを事前に把握しておくことが、退職後転職を選ぶ際には不可欠だと身をもって感じた。
まとめ
失業保険を受給しながら転職活動をすることは可能だが、受給条件・給付制限・就職後の即時報告義務など、知っておくべきルールが多い。
特に自己都合退職の場合は、申請から給付開始まで2ヶ月以上かかるため、退職前に資金計画を立てておくことが重要だ。可能であれば在職中に転職活動を進めるほうが、金銭的・精神的なリスクを抑えられる。
転職の進め方や退職のタイミングについて迷っているなら、転職エージェントに相談するのが一番の近道だ。無料で使えるため、まず話を聞いてみるだけでも価値がある。
