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黒字リストラが増える時代に、「今の会社は安泰か」をどう見極めるか
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黒字リストラが増える時代に、「今の会社は安泰か」をどう見極めるか

2026-07-26 公開

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この記事を書いた人

木材商社・電機メーカー・営業代行・塾・イベント会社と、5業界で営業を経験した元営業マン(4回転職/現在は育児のため育休中)。 年収を下げての挑戦も、勢いで決めた後悔も経験。営業の転職で同じ後悔をしてほしくなくて、リアルだけを書いています。

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この記事はこんな人向け

  • 会社の業績は良いはずなのに、将来がなんとなく不安な営業マン
  • ニュースで「黒字リストラ」を見て、自分の会社は大丈夫かと感じた人
  • 転職するつもりはないが、「いざというときに動ける自分」でいたい人

「業績は好調です。でも、人員を削減します」

少し前なら意味がわからなかったこの発表が、いま当たり前のように続いている。パナソニックホールディングスのような日本を代表する大手企業でさえ、黒字のまま当初1万人規模の人員削減を発表し、希望者が想定を上回って最終的に1万2,000人規模まで拡大する時代だ。

東京商工リサーチの調査によると、2025年に上場企業が募集した早期・希望退職者は1万7,875人。東日本大震災時の2012年を超え、2009年以降で3番目の高水準だ(出典:東京商工リサーチ「2025年『早期・希望退職募集』は1万7,875人」)。しかも2025年度の集計では、募集した企業の約7割が赤字ではなく黒字だった(出典:東京商工リサーチ「2025年度の『早期・希望退職』約7割が黒字リストラ」)。

「リストラ=業績の悪い会社の話」はもう昔の常識だ。

先に正直に言っておくと、私自身はリストラを経験していない。4回の転職はすべて自分の意思で決めたものだ。だからこの記事は「リストラされた人の体験談」ではない。ただ、4つの会社を自分の意思で「辞める」と判断してきた過程で、「会社に居続けるかどうかを何で判断するか」はずっと考えてきた。その視点から、黒字リストラ時代の身の守り方を話す。


黒字リストラとは何か——「業績が良い会社」が人を減らす理由

黒字リストラとは、その名の通り、業績が黒字なのに行われる人員削減のことだ。早期退職・希望退職の募集という形を取ることが多い。

なぜ儲かっているのに人を減らすのか。理由はおおむね3つに整理できる。

① 人員構成の「若返り」

多くの企業で、バブル期・就職氷河期前に大量採用した世代が50代に達している。企業側から見ると「人件費の高い層が厚く、若い層が薄い」いびつな構成だ。業績に余裕があるうちに退職金を上乗せして出口を作り、構成を整える。これが黒字リストラの最大の動機とされる。

② 賃金と市場価値のギャップ

年功序列で上がってきた給与と、その人が今生み出している価値が釣り合わなくなったとき、企業は「割増退職金を払ってでも」と考え始める。冷たい話だが、これが現実だ。

③ 事業構造の転換

AIやDXで「人がやらなくてもよくなった仕事」が増え、必要な人材の中身が変わった。営業職も無関係ではない。この話は別記事で詳しく書いた。

→ 関連記事:AI時代に「なくならない営業」とは?5業界を渡り歩いた営業マンが考える生き残り方

注目すべきは、対象が「50代だけ」ではなくなりつつあることだ。東京商工リサーチの集計では、募集の対象年齢を「30歳以上」まで引き下げる企業も出ており、従来の40〜50代中心から下がる傾向が指摘されている(出典:東京商工リサーチ「対象年齢は30歳以上など引き下げ傾向」)。20代・30代だから無関係、とは言えなくなっている。


「会社が危ないサイン」はあるのか——正直に言うと、外からの予測には限界がある

「安泰かどうかを見極めるチェックリスト」を期待した人には申し訳ないが、先に正直な結論を言う。

黒字リストラは、外から完全に予測することはできない。

赤字によるリストラなら、決算の悪化からある程度は警戒できる。しかし黒字リストラは「業績が良いのに」行われるから、決算の利益だけを見ていても予測できない。パナソニックの人員削減を、社員の何割が事前に予測できただろうか。

それでも、「会社の方針が変わりつつあるかもしれない」と立ち止まって確認したくなる変化はある。先に断っておくと、これらは健全な採用強化や人事制度の改革でも起こることで、単独で「リストラの予兆」と断定できるものではない。複数重なったときに、自分のキャリアを点検するきっかけとして見てほしい。

変化何を確認したいか
早期退職優遇制度が「常設」された一時的な募集ではなく、恒常的な仕組みに変わっていないか
新卒初任給だけが大きく上がった会社の投資先が「これからの人」に偏っていないか
中高年の先輩が閑職に異動している「辞めたくなる環境」を作る静かな退職勧奨の可能性はないか
教育研修が若手にしか用意されない30代以降の育成にも投資されているか
ジョブ型雇用・役職定年の導入が進む「年齢や在籍年数で守られる」前提が変わっていないか

ただし、こうした変化がはっきり見えてから動くのでは遅い。誰の目にも明らかになった時点で、社内には同じことを考える人が大量にいて、転職市場に同世代・同スキルの人が一斉に流れ込むからだ。実際、大手の早期退職では想定を超える応募が殺到するケースが報じられている。

だから本当の問いは「会社は安泰か」ではない。


4回転職してわかった。見極めるべきは「会社」ではなく「会社の看板を外した自分」

私が2社目の電機メーカーを辞めた理由は、待遇への不満でも人間関係でもない。「このまま商品の力を借りて売れ続けたら、自分の営業力が鍛えられないのではないか」という不安だった。

メーカーの営業は、良くも悪くも製品と会社の看板が売ってくれる場面がある。当時の私は数字を落としていたわけではない。むしろ環境としては恵まれていた。それでも「この売上は、私の力なのか? 会社の看板の力なのか?」と自問したとき、自信を持って前者だと言えなかった。

このときの判断基準を、いまの言葉にするとこうなる。

「会社が安泰か」ではなく、「会社の看板が外れた自分に、値段がつくか」。

黒字リストラの時代とは、「会社の業績」と「自分の雇用」が切り離された時代だ。会社が儲かっていることは、あなたが守られることを意味しない。逆に言えば、会社がどうなろうと市場で値段のつく自分でいれば、黒字リストラは脅威ではなく「割増退職金つきの転職チャンス」にすらなる。

実際、4回目の転職活動でエージェントに「あなたのような経歴の方はなかなかいない」と言われたとき、会社の規模や知名度は一度も話題にならなかった。見られていたのは「どの環境で・何を・なぜ売れたのか」だけだった。

→ 関連記事:4回転職してきた私が、それぞれ転職を決断したタイミングと理由を正直に話す


「会社に依存していないか」セルフチェック5項目

会社の安泰を占うより、自分の状態を点検するほうが確実で、今日からできる。次の5つを自問してほしい。

  1. 会社名を伏せて、自分の仕事を説明できるか 「○○社の営業です」ではなく「△△という顧客の□□という課題を、こういう方法で解決してきた営業です」と言えるか。

  2. 成果の理由を言語化できるか 「なぜ売れたのか」を説明できない成果は、環境が変わると再現できない。つまり市場では評価されない。

  3. 社外の同業・異業種の人と、直近半年で話したか 社内の評価軸しか知らない状態は、値札のない商品と同じだ。

  4. 自分の職種の求人を、直近3ヶ月で見たか 求人を見る習慣は「市場が今、何を求めているか」を知る最も安いコストの情報収集だ。

  5. 直近3年で「新しくできるようになったこと」を3つ挙げられるか 挙げられないなら、社内での評価が上がっていても市場価値は横ばいの可能性が高い。

あくまで筆者独自の目安だが、3つ以上「ノー」がついた人は、会社の業績に関係なく、静かに準備を始めたほうがいい。何をすべきかは次の記事にまとめてある。

→ 関連記事:営業職の市場価値を上げる3つの習慣【4社経験者が実践してきたこと】


転職先を選ぶときも「安泰そうな会社」で選ばない

この記事を読んで「じゃあ安泰な会社に転職しよう」と考えたなら、それは同じ罠にもう一度はまることになる。

黒字リストラの時代に「絶対に安泰な会社」は存在しない。大手も、好業績企業も、人を減らす。だから転職先選びの基準も「潰れなさそうか」ではなく「ここで数年働いたら、自分の値段が上がるか」に置くべきだ。

私が4回の転職で確認すべきだと学んだポイントは別記事に書いた。ブラック企業の回避という「下限の見極め」と合わせて読んでほしい。

→ 関連記事:木材商社の営業から4回転職した私が、会社選びで絶対に確認すべき3つのこと → 関連記事:ブラック企業の見分け方|転職前に必ず確認すべき7つのポイント


まとめ——「会社の安泰」を祈るより、「自分の値段」を作る

  • 黒字リストラは2025年に過去3番目の水準まで拡大。2025年度は募集企業の約7割が黒字で、「業績が良い=雇用が守られる」はもう成立しない
  • 会社の方針転換をうかがわせる変化はあるが、外から完全に予測はできない。変化が明らかになってから動くのでは遅い
  • 見極めるべきは「会社の安泰」ではなく「会社の看板を外した自分に値段がつくか」
  • セルフチェックで3つ以上ノーがついたら、転職の意思に関係なく、市場価値を上げる習慣と情報収集を始める

会社の安泰は、あなたにはコントロールできない。でも自分の値段は、今日からの行動でコントロールできる。祈るより、作るほうが確実だ。


※本記事は筆者の実体験をもとに作成しています。筆者の勤務先や体験に登場する会社名・個人名は匿名化しています(報道されている企業の事例は公開情報に基づきます)。

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