営業職は在宅勤務・リモートワークできる?2026年のデータと5業界の経験から見る「リモート向き営業」の条件
2026-08-15 公開
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この記事はこんな人向け
- 営業職のまま在宅勤務・リモートワークをしたい人
- 求人票の「リモート可」をどこまで信じていいか知りたい営業経験者
- 出社回帰の流れの中で働き方を変えたい20代・30代の営業マン
「営業のまま、在宅で働けないだろうか」
そう思って求人を検索したことがある人は、たぶん少なくない。実際、転職サイトには「リモートワーク可」「在宅勤務OK」と書かれた営業求人がそれなりに並んでいる。
ただ、そこに書いてある一文をそのまま信じて入社すると、入社後に認識のずれが起きることがある。
先に立場を明かしておく。私は営業をリモートでやった経験がない。 木材商社・電機メーカーで有形商材を、営業代行・塾・イベント会社で無形商材を売ってきた4回転職の営業マンだが、5社とも仕事の中心は「現場に出ること」だった。だからこの記事は「在宅営業の体験談」ではない。
代わりに書けるのは、なぜ営業という仕事はこれほどリモートにしづらいのかという中身のほうだ。5つの業界で現場に立ってきた人間として、その理由は具体的に説明できる。そしてこれが分かると、「どういう営業なら在宅にできるのか」も逆算できるようになる。
2026年のデータで見る、営業のリモートの現在地
まず、感覚ではなく数字を確認したい。ただし先に一つ断っておく。テレワークの統計は、調査ごとに「何を数えているか」がまったく違う。 企業を数えたものと個人を数えたものが混在していて、並べて引き算することはできない。ここを踏まえて読んでほしい。
① 企業が制度を持っているか(企業単位)
総務省の令和7年通信利用動向調査(2026年5月29日公表)によると、テレワークを導入している企業の割合は**50.1%**で、前年の47.3%から増加に転じた(出典:総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」)。これは会社を数えた数字なので、そこで働く社員が実際に使えているかまでは分からない。
② 個人が実際にやっているか(個人単位)
パーソル総合研究所の「第十回・テレワークに関する調査」(2025年7月実施、正規雇用n=26,352)では、正社員のテレワーク実施率は22.5%。前年の22.6%からほぼ横ばいだ。さらに、実施している人の中でも頻度は落ちていて、「週に1日以下」の割合は前年の43.6%から**49.4%**に増えている(出典:パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」)。
③ 出社の実感(限定的な調査)
Job総研の「2026年 出社に関する実態調査」(2026年3月実施)では、週5日出社が48.3%、2026年度に出社回帰が「あった」が20.2%、出社を必要だと考える人が76.8%だった(出典:Job総研「2026年 出社に関する実態調査」)。ただしこれはJobQ Town登録者327人へのインターネット調査で、全国の正社員を代表する公的統計ではない。「出社頻度が高い層が確かに存在する」という参考値として見るのが正しい。
この3つから言えること・言えないこと
言えないこと:①の50.1%と②の22.5%を並べて「制度は半分あるのに利用は2割」と読むことはできない。調査対象も母数も時期も違う、別の物差しの数字だからだ。
言えること:企業の導入率が上がっても、個々の社員がどれだけ使えるかは、そこからは分からない。そして個人側の実施率は横ばいで、頻度はむしろ落ちている。今回確認した3つの調査からは、営業職全体でリモートワークが広がっているとまでは判断できない。
もう一つ、職種別で気になるデータがある。パーソル総合研究所の調査では、「営業推進・営業企画」の実施率が2023年からの2年で大きく低下した職種として挙げられている。ただしこれは営業企画・営業推進という職種の話であって、この結果だけで法人営業や個人営業を含む営業職全体が同じ傾向にあると断定はできない。
つまり、求人票の「リモート可」が嘘だという話ではない。制度としては本当に存在するのだろう。ただ、制度の有無と、配属される営業部で自分が使えるかは別の話だということだ。そこを面接で確かめる方法は、記事の後半で具体的に書く。
→ 関連記事:転職で「入社後のギャップ」を最小限にするための企業研究の方法
なぜ営業はリモートにしづらいのか——5業界で見てきた理由
ここからが、私が体験ベースで書ける部分だ。
「営業は対面が大事だから」で片づけられがちだが、それだと精神論に聞こえる。実際に5つの業界で営業をやってきて分かったのは、もっと物理的で、身も蓋もない理由だった。
木材商社:モノがそこにある
新卒で入った木材商社では、営業がフォークリフトで木材を積む作業までやっていた。
これは営業の付帯業務ではなく、営業の仕事そのものとして組み込まれていた。木材という現物があり、それを動かす場所があり、そこに人がいる。パソコンの前でできることではない。
→ 関連記事:商社営業のリアル【木材商社で3年働いた経験者が語る仕事内容・年収・向き不向き】
電機メーカー:売り場を見ないと提案が作れない
2社目の電機メーカーでは、量販店のバイヤーが商談相手だった。この仕事の中身は「棚を取る戦争」で、自社商品が売り場のどこに、どう並ぶかで売上が変わる。
だから提案を作るには、実際の売り場を自分の目で見る必要がある。どの棚が空いているか、競合がどう並んでいるか、客がどの動線で歩くか。画面越しの資料では、その情報は手に入らない。
商談自体はオンラインでもできるかもしれない。だが商談の前段にある「売り場を見る」が消せない以上、この仕事は現場から切り離せない。
→ 関連記事:電機メーカー営業の仕事内容【経験者が語るリアル・きつさ・向き不向き】
営業代行:1日250件、街を歩き続ける
3社目の営業代行では、1日250件の飛び込み営業をやっていた。朝から晩まで街を歩き、インターホンを押し続ける。
これは説明する必要もないだろう。在宅でできる仕事ではない。
塾:教室に来た家庭と、その場で向き合う
4社目の塾では教室長として、新規面談と保護者面談が営業の中心だった。教室に足を運んでくれたご家庭に、子どもの状況を説明し、提案する。
ここで効いたのは「本音を引き出す質問」だった。親が本当に不安に思っていることは、たいてい最初の言葉には出てこない。表情や間や、言いよどむ瞬間から拾っていく。そして私が経験した新規面談や保護者面談は教室で行われており、少なくとも当時の仕事は現場から切り離せなかった。
→ 関連記事:塾の教室長に転職してわかった、営業経験者が教育業界で圧倒的に活躍できる理由
イベント会社:当日の現場がすべて
現職のイベント会社では、どれだけ良い企画書を出しても、当日のオペレーションが失敗すればすべて台無しになる。音響トラブルで開始が15分遅れたとき、司会者と連携してその場でアドリブを挟んだことがある。マニュアルにない対応だった。
「売って終わり」ではなく「当日成功するまでが仕事」なので、現場から離れるという選択肢がそもそもない。
→ 関連記事:イベント会社の営業に転職してわかった、他業種では学べない「体験を売る」営業の本質
共通していたこと
5つ並べると、共通点が見える。
モノ・場所・人が実際に動いている現場に、営業の価値の源泉がある仕事ほど、リモートにできない。
逆に言えば、価値の源泉が「情報のやりとり」に寄っている営業ほど、リモートにしやすい。この線引きが、求人を見るときの一番実用的な物差しになる。
では、どういう営業なら在宅にできるのか
上の物差しで考えると、リモート寄りにできる営業の条件が見えてくる。
ここで注意したいのは、「無形商材だからリモートできる」ではないということだ。私が経験した塾もイベント会社も無形商材だが、どちらも現場依存度は極めて高かった。分かれ目は有形か無形かではなく、営業と提供の工程が現場から切り離せるかどうかにある。
① 現物確認・現場対応・訪問を必要としない 運ぶモノも、見に行く売り場もなく、当日の運営もない。ここが第一条件だ。
② 商談から契約後の支援までオンラインで完結する 「オンラインでもできる」ではなく、会社の営業プロセスがそもそもオンライン前提で設計されているかどうか。ここが決定的に違う。
③ 担当業務が分業されている インサイドセールスのように、役割が「見込み客を電話・メールで育てる」に切り出されている場合は、内勤で完結しやすい。
SaaSやITサービスの営業がよく挙がるのは、この3つが揃いやすいからであって、無形商材だからではない。
ただし、ここで一つ言っておきたいことがある。
「内勤=ラク」ではない。
インサイドセールスについて別記事でも書いたが、1日に何十件も接触し、常に数字で管理される。移動という"物理的な休憩"がないぶん、席に座りっぱなしで断られ続ける精神的なきつさがある。外回りとは種類の違う消耗だ。「外を歩きたくない」という理由だけで内勤を選ぶと、別の負担でミスマッチになる可能性がある。
→ 関連記事:インサイドセールスへの転職は"狙い目"か?増えた求人の実態を営業4回転職の私が正直に分析する
→ 関連記事:営業からSaaS・IT営業に転職する方法|未経験でも行けるのか正直に答える
有形商材と無形商材のどちらが自分に向いているかは、働く場所の自由度とも直結している。この軸での比較は別記事で詳しく書いた。
→ 関連記事:有形商材と無形商材、営業の転職で有利なのはどっち?両方やった私の正直な結論
フルリモートより現実的な「裁量」という考え方
ここで、私自身の実感を一つ書いておきたい。
営業代行時代、私は成約データを分析して「成約率が高いエリア」「成約率が低い時間帯」を把握し、戦略を組み立てていた。そのとき分かったことの一つが、雨の日は成約率が下がるということだった。だから雨の日は外回りを減らし、内勤作業に充てるようにしていた。
これは在宅勤務でも何でもない。ただの1日の組み立て方の話だ。
でも実務の感覚として、「今日は外に出る日か、中で作業する日か」を自分で決められることの価値は、想像以上に大きかった。逆に、雨だろうが何だろうが「とにかく訪問件数を出せ」という会社だったら、同じ数字は出せなかったと思う。
営業職で働く場所の自由を求める人の多くは、本当は「完全在宅」が欲しいわけではないのかもしれない。自分の判断で1日を組み立てられる裁量が欲しいのではないか。
そして転職市場でいうと、「フルリモートの営業求人」に絞るより、「裁量が大きい営業求人」に狙いを移すほうが、候補を広げやすい。
→ 関連記事:木材商社の営業から4回転職した私が、会社選びで絶対に確認すべき3つのこと
求人票の「リモート可」を見抜く5つの質問
では、実際に面接で何を聞けばいいか。「リモートワークはできますか?」と聞くと「制度はあります」で終わってしまう。制度の有無ではなく、運用の実態を聞く必要がある。
① 「営業部で実際に在宅を使っている方は、何割くらいですか?」
統計では企業の導入率と個人の実施率が別々にしか分からないが、自分に関係あるのは「配属される営業部の実態」だけだ。全社の話ではなく「営業部で」と限定して聞くのが重要になる。
② 「その方は、週に何日くらい使っていますか?」
実施者の約半数が「週1日以下」だというデータがある。「使えます」と「週3日使えます」はまったく違う。制度上の上限ではなく、直近の実績を聞く。
③ 「1日のスケジュールは、誰がどう決めますか?」
訪問先や訪問順を自分で組めるのか、上から指示されるのか。裁量の大きさが最も端的に出る質問で、実は在宅の可否よりこちらのほうが働きやすさに効く。
④ 「直行直帰は認められていますか?」
在宅勤務がなくても、直行直帰ができるだけで拘束時間はかなり変わる。訪問型の営業では、フルリモートより現実的な落としどころになりやすい。
⑤ 「在宅の日の成果は、どう評価されますか?」
ここを曖昧にする会社は要注意だ。評価方法がはっきりしないまま制度だけ作られている場合、制度は存在しても実質的に使いづらい運用になっている可能性がある。
面接での確認の仕方や逆質問の組み立ては、別記事にまとめている。
→ 関連記事:面接の逆質問で差をつける|営業職が実際に使った質問15選
なお、こうした「制度の実態」は求人票からは読み取れないし、面接でも本音が出るとは限らない。営業職に強いエージェントが持っている企業情報を、判断材料の一つとして使う手もある。
→ 関連記事:営業マンにおすすめの転職エージェント3選【4回転職した筆者が本音で比較】
まとめ:「リモートかどうか」より「何を売る仕事か」で決まる
- テレワークの統計は企業単位と個人単位が混在している。企業の導入率50.1%と個人の実施率22.5%は引き算できない(別の物差しの数字)
- ただし個人の実施率は横ばいで、頻度は落ちている(実施者の約半数が「週1日以下」)。少なくとも今回確認した調査だけでは、営業職にリモートの追い風が吹いているとは判断できない
- 職種別では「営業推進・営業企画」の実施率が低下しているが、これだけで営業職全体を語ることはできない
- モノ・場所・人が動く現場に価値がある営業ほど、リモートにできない。私が経験した5業界はすべてこちら側だった
- 分かれ目は有形か無形かではなく、営業と提供の工程が現場から切り離せるか。塾もイベントも無形商材だが現場依存だった
- ただし「内勤=ラク」ではない。外回りとは種類の違うきつさがある
- 現実的な狙い目は、フルリモートより**「裁量の大きさ」と「直行直帰」**。こちらのほうが候補を広げやすい
- 面接では制度の有無ではなく「営業部の実施率」「週何日」「評価のされ方」を聞く
在宅勤務ができるかどうかは、その会社が進んでいるか遅れているかの話ではない。その営業が何を売っていて、価値がどこで生まれているかでほぼ決まる。
だから「リモート可の営業求人」を探すのではなく、「自分が納得して売れる商材で、かつ裁量のある会社」を探すほうが、結果的に働きやすい場所にたどり着きやすい。5つの職場を渡り歩いて実感したのは、そういうことだった。
※本記事は筆者の実体験および公開情報をもとに作成しています。筆者は営業職としてリモートワーク・在宅勤務を行った経験はなく、その部分は調査と5業界での現場経験に基づく分析です。会社名・個人名・特定できる情報はすべて匿名化しています。
