「提案型営業」へのシフトが進む転職市場で、未経験でも刺さる自己PRの作り方【4回転職した営業マンが解説】
2026-07-19 公開
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この記事はこんな人向け
- 営業職で転職活動中、自己PRの書き方に悩んでいる人
- 「提案型営業」の求人に応募したいが未経験で不安がある人
- ルート営業・御用聞き営業から抜け出したいと感じている人
最近、求人票で「御用聞き営業ではなく、課題解決型・提案型の営業を求めています」という一文をよく見かけるようになった。
転職エージェントや採用の現場でも、「これからは"提案型営業"の経験がある人が有利」という声をよく聞くようになった。こう言われると、「じゃあ提案型営業の経験がない自分はどうすればいいんだ」と不安になる人は多いと思う。
私は4回の転職を経験している。木材商社、電機メーカー、営業代行、教育業界、そして現在はイベント業界にいる。この5社の中で、「提案型営業をやっていました」と胸を張って言える会社は正直半分もない。
でも、振り返ってみると「提案の芽」はどの会社にもあった。今日は、転職市場が「提案型」にシフトしている背景と、未経験でも自己PRに落とし込める考え方を、正直に話す。
なぜ今、転職市場は「提案型営業」を求めているのか
営業職の転職市場では、「訪問数」「架電数」といった行動量だけを追う営業から、顧客の課題を捉えて価値を提案する営業へ、求められる役割が広がりつつある。実際、リクルートの調査では、インサイドセールス・カスタマーサクセスなどの「新しい営業職」の求人が、2019年度からの3年間で2.62倍に増えている(出典:リクルート「新しい営業職」に関する調査)。SaaSや分業型の営業組織を中心とした動きではあるが、「顧客の課題把握や提案を担う営業」の需要が増えていることは、データでも確認できる。
背景には、営業の分業化やデジタル化がある。こうした企業では、定型的な業務を仕組みやツールに任せ、人は顧客の課題把握や個別の提案を担う、という役割分担が進みつつある。「言われたものを届ける」だけの営業より、「顧客も気づいていない課題を引き出し、解決策を提示できる」営業が評価されやすくなっている、という流れだ。
私が転職活動で求人票を見ていた範囲でも、「未経験歓迎」の求人に「顧客視点で考えられる人」といった条件が添えられているものが目についた。行動量だけでは評価されにくくなってきている、というのが正直な実感だ。
「提案型営業」を誤解している人が多い
自己PRを考える前に、誤解を解いておきたい。
「提案型営業」と聞くと、「プレゼンが上手い」「トークが流暢」というイメージを持つ人が多い。でもこれは違う。
この記事では、提案型営業を「顧客の課題を把握し、解決策を提案する営業」という意味で使う。その核心は、顧客が言葉にしていない課題を先回りして拾い、その解決策を形にすることだ。プレゼンの上手さは手段の一つでしかない。むしろ、口下手でも「顧客の困りごとをよく聞いて、地味に解決策を返し続ける」タイプの方が、提案型営業として評価されることも多い。
この前提を持っておくと、「自分には提案型営業の経験がない」と思っていた人も、実は経験があることに気づける。
私が経験した「提案の芽」
木材商社時代:値段以外の提案で顧客を動かした
木材商社の営業は、商品自体の差別化がほとんどできない世界だった。同じメーカーの同じ商品を、どの商社も同じように売っている。その中で私がやったのは、価格交渉ではなく「情報を持っていく提案」だった。
「この木材、来月から値上がりしそうです。今のうちに多めに仕入れておきませんか」というような、顧客の仕入れ計画そのものに踏み込む提案を続けたことで、価格の話をされなくなった経験がある。詳しくは別記事木材商社の営業を3年やって気づいた、"値段で戦わない"営業の本質に書いた。
これは「モノを売る」提案ではなく、「顧客の意思決定に必要な情報を売る」提案だったと今は言語化できる。
電機メーカー時代:提案が刺さって、カテゴリごと任された
電機メーカーでは、生活家電の卸し営業として家電量販店・ホームセンターのバイヤーを担当していた。この仕事で最も重視されていたのは「新商品を導入してもらえるかどうか」だった。
あるとき、ライバル企業が担当していたカテゴリの商材を、バイヤーへの提案が刺さったことで、そのカテゴリごと任せてもらえたことがある。今になって振り返れば、あのとき響いたのは商品スペックそのものよりも、「このバイヤーが社内でどう見られたいか」といった、相手の立場まで想像した提案だったのかもしれない。当時からそこまで明確に意識できていたわけではないが、結果として「顧客(バイヤー)の先にいる消費者と、バイヤー自身の事情まで見て提案する」という、提案型営業の核に近い動きになっていたのだと思う。詳しくは電機メーカー営業の仕事内容【経験者が語るリアル・きつさ・向き不向き】にまとめている。
未経験でも自己PRに落とし込める3つの言い換え
「提案型営業」の経験が薄いと感じている人でも、以下の3つの視点で過去の仕事を棚卸しすると、書ける材料が見つかることが多い。
① 「言われた通り」ではなく「相手の裏の意図」を拾った場面を1つ探す
御用聞き営業・ルート営業であっても、「発注通りに納品しただけ」ではなく、「顧客がなぜその発注をしたのか」まで想像して動いた場面があるはずだ。その1場面を具体的に思い出す。
NG例
「お客様のご要望に応じて、迅速に対応してきました。」
OK例
「発注内容だけでなく、なぜその数量・タイミングでの発注なのかを毎回確認するようにしていた。ある顧客の発注パターンから在庫リスクを感じ取り、先回りして代替案を提示したところ、発注量が増えた。」
後者は「言われたことをこなす」から一歩踏み込んだ提案の痕跡になっている。
② 「なぜ売れたか」を自分なりに分析していたかを思い出す
数字を追うだけの営業でも、「なぜこの案件は決まったのか」「なぜこの案件は流れたのか」を自分の頭の中で考えていたなら、それは提案型営業に必要な「仮説思考」の芽だ。この分析をしていた記憶があれば、それを自己PRの言葉にする。
③ 未経験は隠さず明示した上で、直近の学習行動を添える
提案型営業の経験が本当にない場合、無理に経験があるように書かないことが大事だ。誇張は面接で必ず崩れる。
その代わり、「未経験だが、こういう準備をしている」という行動を添える。たとえば「提案営業に関する書籍を読んだ」「業界研究を独自に進めている」といった、今できる範囲の準備を正直に書く方が、応募への本気度と準備の状況が伝わりやすい。
まとめ
「提案型」の営業を求める動きは、SaaSや分業型の営業組織を中心に、転職市場で実際に確認できる流れだ。だからといって、経験がない人が不利なわけではない。
- 提案型営業の本質は「顧客が言葉にしていない課題を拾うこと」であり、プレゼン力そのものではない
- 御用聞き・ルート営業の中にも「提案の芽」は隠れている。棚卸しして探す
- 経験がなければ隠さず明示し、今できる準備を添えて正直に書く
自分の経歴のどこに「提案の芽」があるか、一人で棚卸しするのが難しいと感じたら、営業職に詳しいエージェントに一度、経歴の見せ方を相談してみるのも手だ。
※本記事は筆者の実体験をもとに作成しています。会社名・個人名・特定できる情報はすべて匿名化しています。
