営業マンの転職図鑑
有形商材と無形商材、営業の転職で有利なのはどっち?両方やった私の正直な結論
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有形商材と無形商材、営業の転職で有利なのはどっち?両方やった私の正直な結論

2026-07-13 公開

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この記事を書いた人

木材商社・電機メーカー・営業代行・塾・イベント会社と、5業界で営業を経験した元営業マン(4回転職/現在は育児のため育休中)。 年収を下げての挑戦も、勢いで決めた後悔も経験。営業の転職で同じ後悔をしてほしくなくて、リアルだけを書いています。

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この記事はこんな人向け

  • 有形商材と無形商材のどちらの営業に進むか迷っている人
  • 「無形のほうが転職で有利」の真偽を知りたい人
  • 自分の営業経験の市場価値を正しく判断したい人

「営業でキャリアを積むなら、無形商材のほうが有利ですよ」

転職について調べたことがある人なら、この言葉を一度は目にしたことがあるはずだ。実際、検索すれば「無形商材のほうが市場価値が上がる」という結論の記事がずらりと並ぶ。

ただ、私はこの"横並びの結論"に、ずっと少し引っかかっていた。

というのも、私は有形商材と無形商材を、両方やってきたからだ。木材商社と電機メーカーで「モノを売る営業」を、営業代行・塾・イベント会社で「形のないものを売る営業」を経験した。4回転職して、両側の景色を見てきた立場から言うと、「無形が有利」という結論は半分正しくて、半分は乱暴だと感じている。

この記事では、どちらが転職で有利なのかを、きれいごと抜きで正直に書く。

そもそも有形商材と無形商材の違いとは

言葉の定義から整理しておく。

  • 有形商材:形のあるモノ。家電、機械、自動車、食品、住宅、医療機器など。私で言えば木材(商社)と電機メーカーの製品がこれにあたる。
  • 無形商材:形のないもの。人材サービス、広告、IT・SaaS、コンサル、研修、保険、イベントなど。私で言えば営業代行・塾(教育サービス)・イベント(体験)がこれにあたる。

違いは「モノがあるかないか」だけではない。営業のやり方そのものが変わるというのが、両方やって一番実感したことだ。

有形商材無形商材
売るもの目に見える製品サービス・課題解決・体験
提案の型スペック・価格・納期での比較が中心相手の課題を引き出して形にする
差別化製品力に依存しやすい営業個人の力量に左右されやすい
商談の武器現物・カタログ・実績ヒアリング力・提案の設計力

ざっくり言えば、有形は「良いモノをどう届けるか」、無形は「相手の悩みをどう形にするか」の勝負になる。

なお、これは「BtoBかBtoCか(誰に売るか)」とは別の軸だ。有形/無形は「何を売るか」の話で、この2つを混同すると自分の経験の棚卸しがぼやける。顧客の違いによる営業の変化は、別記事で整理している。

→ 関連記事:BtoB営業とBtoC営業のリアル比較【両方経験した筆者が正直に語る】

「無形が転職で有利」と言われる本当の理由

まず、世間の"定説"が正しい部分から認めておきたい。

無形商材の営業が転職で評価されやすいのは事実だ。理由はシンプルで、身につくスキルが「持ち運べる(ポータブル)」からだ。

無形商材は、目の前に現物がない。だから「相手が何に困っているのか」を聞き出し、それを解決する提案を自分で組み立てないと売れない。このヒアリング力と提案設計力は、扱う商材が変わっても通用する。人材を売っていた人がSaaSに移っても、コンサルに移っても、"聞いて・設計して・クロージングする"という骨格は変わらないからだ。

一方、有形商材、とくにルート営業中心の職場だと、「決まった製品を、決まった取引先に、決まった流れで納める」仕事になりがちだ。会社の看板と製品力に売上が支えられている面も大きい。そうすると、転職の面接で「あなた個人は何ができるのか」を語りにくくなる。ここが、有形商材が転職市場で不利になりやすい理由だ。

ここまでは、私も同意する。定説は間違っていない。

それでも「無形なら勝ち」と言い切れない3つの理由

問題はここからだ。「じゃあ無形に移れば市場価値が上がるんですね」と単純化してしまう人が多いが、両方やった私の実感では、そう簡単ではない。

理由1:無形商材は「売れない人」との差が残酷なほど大きい

無形商材は、現物という助けがない。だからこそ営業個人の力量で差がつく。これは「伸ばせる」というメリットであると同時に、売れないと逃げ場がないというデメリットでもある。

有形商材なら、製品が良ければ多少営業が拙くても売れることがある。無形商材にはそれがない。営業代行の時代、同じ商材・同じリストを渡されても、成果が出る人と全く出ない人がはっきり分かれるのを何度も見た。「無形は市場価値が上がる」の裏には、「上げられる人だけが」という前提が隠れている。

有形営業のときのしんどさが「製品や納期をどう調整するか」という外側の交渉にあったのに対し、無形営業のしんどさは「自分の提案そのものが価値を持てるか」という、逃げ場のない内側の勝負だった。この"しんどさの質の違い"は、両方をやってみて初めて腹に落ちた。

→ 関連記事:営業代行会社に転職してわかった、"何でも売れる営業"になるための最短ルート

理由2:有形商材にも、無形に負けない"武器"はある

有形商材の営業を下に見る風潮があるが、これは正しくない。

有形商材、とくに商社やメーカーの法人営業では、製品知識・業界構造・在庫や納期の交渉・技術部門との連携といった、無形営業では身につかないスキルが育つ。私が電機メーカーにいたとき、商談の成否を分けたのは「製品を深く理解して、相手の現場で何が起きるかまで想像できるか」だった。これはこれで、簡単に真似できない専門性だ。

転職で不利になるのは「有形だから」ではなく、「会社の看板頼みで、自分の言葉で成果を語れないから」だ。ここを取り違えると、判断を誤る。

→ 関連記事:電機メーカー営業の仕事内容【経験者が語るリアル・きつさ・向き不向き】

理由3:「無形へ移る」より「無形の要素を足す」ほうが現実的なことも多い

有形営業の人が、いきなり全く畑違いの無形商材へ飛び込むと、業界知識ゼロからのスタートで最初は苦しい。それより、今の有形営業の中で"無形的な動き"を増やすほうが、遠回りに見えて市場価値が上がることもある。

たとえば、単なる納品ではなく「相手の課題を聞いて提案の形にする」動きを意識的に増やす。これだけで、面接で語れる中身がまるで変わる。転職はゴールではなく手段だ。「無形に移ること」自体を目的にすると、判断を間違える。

タイプ別・どちらを選ぶべきか

両方やった上での、正直な振り分けはこうだ。

無形商材が向いている人

  • 営業の"腕"そのものを磨いて、業界を問わず通用する人材になりたい
  • 決まった型より、自分で考えて提案するほうが面白いと感じる
  • 成果と収入が連動する環境で燃えるタイプ

有形商材が合っている人(無理に無形へ行かなくていい人)

  • モノや技術そのものが好きで、深く語れることに喜びを感じる
  • 長期的な取引先との信頼関係を積み上げるのが得意
  • 短期の数字で追い立てられるより、腰を据えて働きたい

大事なのは、「市場価値が上がるほう」ではなく「自分が成果を出し続けられるほう」を選ぶことだ。どんなに市場価値が高い場所でも、売れなければ意味がない。無形で消耗して潰れるより、有形で圧倒的な成果を出したほうが、結果的に市場価値は上がる。

なお、有形・無形を問わず「営業職として年収を上げやすい業界」という切り口でも別記事に整理している。商材タイプと合わせて見ると、自分の狙いどころが立体的になるはずだ。

→ 関連記事:営業職が転職で年収を上げやすい業界ランキング【実体験×市場データ】

自分がどちらタイプか、迷ったら診断してみる

ここまで読んで「頭ではわかったが、自分がどちらで戦うべきかまだ決めきれない」という人も多いと思う。それは当然で、有形/無形の相性は、性格や仕事の楽しみ方と深く結びついているからだ。

自分のタイプから、合う営業スタイルや転職サービスを絞り込みたいなら、20代営業向けにタイプ別で振り分けた診断記事も用意している。「モノを語ることに燃えるのか、課題を解くことに燃えるのか」を整理する足がかりになるはずだ。

→ 関連記事:【タイプ別診断】20代営業マンに合う転職サービスはどれ?8つの選択肢を正直に振り分ける

そのうえで、営業に強い転職エージェントに壁打ち相手になってもらうと、自分の経験がどちらの市場でどう評価されるかが具体的に見えてくる。

→ 関連記事:営業マンにおすすめの転職エージェント3選【4回転職した筆者が本音で比較】

まとめ:定説を鵜呑みにしないでほしい

  • 「無形商材のほうが転職で有利」は、半分本当。ポータブルなスキルが身につくのは事実
  • ただし「無形なら誰でも市場価値が上がる」は誤り。売れる人だけが、の前提がある
  • 有形商材にも、無形では育たない専門性という武器がある
  • 転職で不利になるのは「有形だから」ではなく「自分の言葉で成果を語れないから」
  • 選ぶ基準は「市場価値が高いほう」ではなく「自分が成果を出し続けられるほう」

私は有形も無形も経験したから言えるが、どちらが上ということはない。あるのは「自分がどちらで戦えるか」だけだ。定説に流されて職種を選ぶと、入ってから「こんなはずじゃなかった」となる。それは、私が4回の転職で何度も味わった後悔でもある。

まずは、自分がモノを語ることに燃えるのか、相手の課題を解くことに燃えるのか——そこから考えてみてほしい。


※本記事は筆者の実体験をもとに作成しています。会社名・個人名・特定できる情報はすべて匿名化しています。

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