1日250件訪問していた営業マンが、それでも転職を決意した本当の理由
2026-04-21 公開
「主任になったばかりなのに、辞めるのか」
転職を告げたとき、上司にそう言われた。
「せっかく評価されてきたのに、なぜ今なんだ」という意味が、その一言に込められていた。私も覚悟していたとはいえ、直接言われると胸に刺さるものがあった。
正直、迷った。成果は出ていた。昇格したばかりだった。後輩も育ってきていた。「なぜこのタイミングで?」と言われるのはわかっていた。
それでも転職した。今振り返ると、その判断は正しかったと思っている。「成果を出しているのに転職する」という選択の裏側を、正直に話す。
当時の状況:成果は出ていた
営業代行会社でのことだ。
訪問営業で1日250件を回り、毎月KPIを自分で設計し、課長売上基準106%を3ヶ月連続で達成した。後輩を育て、その後輩も主任に昇格した。自分も係長に昇格した。
数字だけ見れば、順調なキャリアだった。
1日250件というのは、実際どういう生活かというと、朝から晩まで街を歩き続けることだ。マンションのインターホンを押し続け、ドアを叩き続ける。断られる回数が多すぎて、最初のうちは感覚がマヒする。それでも数字を出すために自分なりの「勝ちパターン」を作り上げ、成約率を上げていった。
あの時期に鍛えられた「数字への執着」と「プロセス設計力」は、今の自分の土台になっている。だから決して無駄な時間ではなかった。
それでも転職を考え始めた3つの理由
理由① 「商材への納得感」の問題
営業代行は、クライアントが変わるたびに商材が変わる。NHKの業務委託、通信系、ペイメント、人材サービス…。多様な経験は積めた。でもある時期から「自分が本当に価値があると思える商材を売りたい」という気持ちが強くなった。
転機になったのは、ある商材のクライアントが変わったタイミングだった。自分の中で「これは正直、相手に必要なものなのか?」という疑念が消えなくなった。数字を出すことはできる。でも「この商品を売っていいのか」という迷いを抱えながら働くのは、じわじわと消耗する。
何でも売れる営業力は身についた。次は「何を売るか」にこだわりたかった。
理由② 「成長の方向性」のズレ
営業代行での成長は「どんな商材でも売れる汎用営業力」だ。それは確かに価値がある。でも私が次に積みたかったのは、「特定の顧客・業界に深く関わり、信頼関係を築く営業力」だった。
1日250件を回る訪問営業は、「数と速度で勝負する」世界だ。1件1件の顧客と深く付き合う時間はない。「また来るかもしれない人」として終わることがほとんどだ。
一方で、私がなりたいのは「あの人に任せたい」と言われる営業だった。それを実現するには、同じ顧客と長く向き合える環境が必要だと気づいていた。
訪問数で勝負する世界から、質で勝負する世界に移りたかった。
理由③ 昇格したからこそ、次が見えた
係長に昇格したことで、この先のキャリアが見えてきた。このまま同じ環境で昇格を続けることが、自分の目指す方向と一致しているかを考えたとき、答えはNoだった。
昇格は通過点であって、ゴールではない。
「このまま同じ場所で上を目指すか、違う場所でゼロからやり直すか」。この問いに向き合ったとき、正直なところ「同じ場所でのゴール」が魅力的に見えなくなっていた。それは今の会社が悪いのではなく、自分の進みたい方向と違ったからだ。
転職を決意するまでの葛藤
「せっかく昇格したのに」という気持ちはあった。後輩を途中で置いていくような罪悪感もあった。
「あなたが辞めたら困る人がいる」という言葉は、頭の中でずっとぐるぐるしていた。実際に後輩の顔が浮かんで、申し訳ない気持ちになった夜もある。
でも、こう考えた。
「今の会社での成果は、転職しても消えない。でも、転職するタイミングを逃したら取り戻せない。」
この言葉を自分に言い聞かせながら、転職を決めた。後輩への「申し訳なさ」を理由に自分のキャリアを止めることが、本当に正しいのかをもう一度考えた。答えはNoだった。自分が充実して働いている姿を見せる方が、長い目で見て後輩にとってもいいはずだ。
それに「あのとき動けばよかった」という後悔は、取り返しがつかない。今動いて失敗した方が、10年後に後悔するよりずっとマシだ。そう結論づけた。
転職して変わったこと
次に選んだのは教育業界の教室長という仕事だった。
商材は「教育サービス」という、自分が価値を信じられるもの。「この子の人生に関わっている」という実感が持てる仕事だ。顧客は生徒と保護者で、長期的な信頼関係を築く仕事だ。
最初は戸惑った。訪問営業と全く違うやり方を求められたし、顧客との関わり方も、数字の作り方も違う。でも営業代行で培った「数字の管理」「戦略的なアプローチ」「後輩育成」が全てそのまま活きた。
入社1年目で九州エリア100教室中1位を獲得し、2年目でチーフに昇格した。
前職での経験が全てそのまま武器になった。転職は「経験のリセット」ではなく「経験の応用」だと実感した瞬間だった。
「成果を出しているのに転職する」は正解か
正解だった。ただし条件がある。
「逃げるための転職」ではなく「次のステージに進むための転職」であること。
成果を出していた経験は、次の会社での信頼につながった。転職先での数字の作り方、後輩の育て方、戦略の立て方…全て前職の経験が土台になった。
成果を出してきた人ほど、転職市場での価値は高い。それを使わない手はない。
「今の会社で成果を出しているのに転職するのはもったいない」という声を聞くことがある。でも私は逆だと思っている。成果を出しているからこそ、転職市場での評価が高い。成果を出せない状態で転職しても、次の会社でのスタートは弱くなる。
良いタイミングで動くことの価値を、もっと多くの人に知ってほしい。
👉 [無料で転職相談をしてみる](アフィリエイトリンクをここに設置) ※在職中・昇格直後の転職相談もOK。完全無料です
※本記事は筆者の実体験をもとに作成しています。会社名・個人名・特定できる地名はすべて匿名化しています。
